はらっぱ

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Seventh Heaven


突然の音に唇に指を当てて「しー、しー」なんていいながら、慌てて携帯を探す。

自分の脱ぎ散らかしたズボンのポケットから音の根元を突き止めて、乱暴に電源を落とした。

あ、誰からだったんだ? ま、いいか。

何しろ目の前には、むき出しの白い肩をシーツからほんの少しだけ出して、すやすやと眠る彼女がいるのだから。

その寝顔を見ながら、携帯の呼び出し音を止めるために手にしたズボンをはく。上半身は裸のまま、彼女の寝顔に顔をよせた。

少し、乱暴だったかもしれない。何しろお互い初めてだったから、容赦なんてわかりゃしない。ただ、もう、その柔らかさといったら何にも例えられない。自分を受け入れるために痛みにゆがめた眉さえも扇情的でたまらなかった。

丸みのある白い肩から耳の後ろまでゆっくりと、なめていく。耳たぶを甘噛みして、唇をなぞるようになめる。さすがに、ん、と鼻から息をもらしたが、それでも起きる兆しはみせなかった。よほど無理をさせたのかもしれない。

愛おしくて、起こさないように額に触れるだけのキスを落とした。

初出200704302ブログより転載

あまいこえ


「どうかしたのか?」

ぼんやりと窓の外を見て「あぁ、夏だなぁ」って思っていると、後ろからクリスくんが声をかけてきた。

クリスくんの声は特別驚かされるような大きさではないけれど、いつも私の心に心地よくしみ込んできて、鼓動を早くする。

「夏だなって」
「あぁ、そうだな」

昨日の雨とはうってかわった日差しにクリスくんも窓の外を見て目を細めた。

私の早鐘を打つような鼓動にこれっぽっちも気づくこともなく、クリスくんは夏の空にうれしそうに口元をゆるめる。その横顔に自分の顔がほてってくのがわかった。赤い顔を気づかれないように俯くと、クリスくんは私の耳元に口を寄せてきた。

「赤いな」

その言葉と息さえも届くこの距離は私の耳も瞬時に赤く染めてしまった。

初出20070710ブログより転載

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